マンション解体費用の積み立てに取り組む

2023.02.01 全国の団体の動き

マンション解体費用の積立てを決議

ロピア8条通り管理組合(旭川市) 理事長 佐々木 允
公益社団法人 北海道マンション管理組合連合会理事
旭川支部 事務局長

財団法人マンション管理センター通信2023年1月号から引用

1. はじめに

当マンション所在地の旭川市は北海道のほぼ中央にあり、道内各都市を結ぶ道路網の要に位置しております。旭川市を起点として北見市を経由し、網走市に至る一般国道39号線が走り、11月11日から冬の営業がスタートした旭山動物園に通じる道道140号線が交差する交通の要所に位置しております。

2. 管理組合の概要

私たちが入居するマンションは1981年6月に適用された新耐震基準以降の平成8年(1996年)竣工し、築26年、RC造り11階一部9階建て、60戸が入居しており、区分所有者の平均年齢は63歳です。
2007年6月に開催した定期総会で理事長に選出され、3年後2010年10月1日より「自主管理」に移行し経費の削減を図りました。
管理費等の内訳は管理費:100/㎡、修繕積立金200/㎡、駐車場使用料5,000/台(64台)が主な収入です。
一般会計として何れも年間管理費:5,497千円、駐車場使用料3,840千円。
特別会計は11,026千円です。
役員体制は理事5名、監事2名です。
毎月開催する理事会の出席率はほぼ100%、年1度開催する定期総会の出席率は議決権行使書や委任状を含め90%以上です。

マンション解体費用の積立決議までの経緯

旭川市内にはおよそ220棟の分譲マンションがあり、その1/3以上が築35年以上経過したマンションで、その中には管理不全マンションも出てきており、マンションを手放すことが出来ず途方に暮れているという話も多く聞きます。
区分所有している限りは管理費や固定資産税は徴収され続けます。
管理組合で毎月発行しているロピア8条通管理組合便り129号(令和2年4月発行)で将来的にはマンションの終末期に建て替えや取り壊しの時期が到来し、管理組合は大きな試練に立たされることが予想される為、今からその準備をしておくことが現在入居している者の責任ではないかとの一文を掲載しました。

令和4年1月発行の管理組合便り149号の年頭所感では、これから先の管理組合のありようとして「子育て世代」が安心してマンションを購入でき、自主管理の継続(役員のなり手不足の解消)等を目的に現在の修繕積立金(200円/㎡)の中から毎月2,000円/戸を令和4年10月より積み立ての開始し、当面50年間解体費用を積立てたいという提案を再び掲載しました。

現在の解体費用の相場は1㎡2万円と言われており、建築延べ面積5,576㎡のマンション解体費用はおよそ1億1千万円となります。
今後50年間積み立てると72,000千円となり、当初の解体費用には及ばないものの解体時の原資として大きな金額になります。
令和4年度の定期総会では管理規約を全面改正した際、修繕積立金とは別に解体費用の積立を規約で制定しました。

過去2年間、役員会で何度か議論を積み重ね、令和4年6月26日に開催した通常総会には議案の一つとして提案した結果、反対意見はなく承認可決しております。

終わりに

令和3年に実施したアンケート調査では「終の住まい」と考えている入居者が7割近く占め、マンションに愛着を持ち生活を送っております。
50年後はどのような時代になるか想像つきませんが、マンションが終末期を迎えた時には管理組合が路頭に迷うことなく整然と解体出来ることで管理組合が解散し、管理費や固定資産税から解放されるよう願うばかりです。

北海道第2の都市とは言え人口減が顕著な地方都市では建て替えは難しいことからマンション解体を選択しました。
これからの課題として、建物の長寿命化を図り、日常の設備点検を実施し、綿密な長期修繕計画をたて100年住み続けることが出来るマンションを目指していきます。

ロピア8条通り管理組合(旭川市) 理事長 佐々木 允の画像
ロピア8条通り管理組合(旭川市) 理事長 佐々木 允