2006年11月23日

NPO法人全国マンション管理組合連合会


マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準(案)に対する意見


 意 見

 私どもは、管理組合団体の連合組織で、現在、北海道から宮崎県までの全国17団体・3175管理組合・300,567戸で構成されています。この度の標記基準案に対しまして、日常の管理組合活動を通じて得られた経験、認識を基に私どもの意見を以下に述べさせていただきます

1.はじめに

@  本監督処分の基準案は、監督処分権者に処分すべき行為が明らかになってからの基準です。この場合、監督処分権者はどのようにして違反行為を把握するのでしょうか。本案により違反行為に対する監督処分の基準を定めるのであれば、あわせて管理組合から監督処分権者に対し、管理業者の行為についてどのような申立があれば、どのような調査を行い、結果はどのように伝えられるかについての手続きもあらかじめ定めておく必要があると考えます。

例: 1.規定の申立用紙を用意する。
2.規定の申立用紙により申立てがあれば、その管理業者に対して調査を行う。
3.調査の結果を、申立管理組合に対し返答を行なう。

4.一連の作業については、可能な範囲で長過ぎない期間を定める。

A  私ども管理組合の者が、本監督処分の円滑な実施の前提であるマンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「管理適正化法」という)第44条に定める登録管理業者を確認する方法は、現在のところ、各地方整備局に出向いて閲覧する方法しかありません。インターネット時代の現代において、これはあまりにも陳腐な方法といわなければなりません。本監督処分が迅速に且つ適正に執行されるためにも、登録管理業者を国土交通省のホームページで閲覧できるよう早急に改善していただくことが肝要であると考えます。

B  本監督処分の問題に関連して、管理適正化法第81条及び第82条に示されているような行為を管理業者が行った場合、契約の相手方である管理組合が、当該部署に届け出ることになります。それと同時に、このような不公正な行為または違法な行為があった場合に、それに伴う問題も同時に発生します。しかし、管理適正化法においては、このような場合の苦情の解決を管理業者の団体に委ねておりますが、法施行以来、こんにちまで私ども管理組合の立場からみたとき、このような苦情解決の方法は全く実効があがっておりません。問題を起こす者とそれの解決に当たる者が、同業者であるということを考えれば、このような結果も当然のことと考えられます。
 したがって、本監督処分を実効あるものとするためにも、苦情解決機関を管理業者の団体から政府機関に変更することを強く希望します。

C  国土交通省におかれましては昨年10月から12月にかけて、マンション管理業の適正な運営を確保することを目的として、各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局において、任意抽出した全国のマンション管理業者57社に対して、一斉立入検査を実施されました。その結果は、本年6月16日に発表されましたが、57社中、35社が是正指導を受けたことが報告されております。しかしながら、この指導の対象となった業者名は公表されておりません。
 また、今回の立入調査実施の要因となった問題が発生してからすでに3年以上経過しており、遅きに失したといわねばなりません。今後については、早期の実施を要望いたします。同時に検査の結果、指導や監督の対象となった業者名を公表されることもあわせて強く要望いたします。

D  管理組合資金の管理上、問題を有している管理適正化法第76条に定める財産の分別管理について、立入検査だけでチェックするのは、全く不十分であります。したがって、国土交通省の責任において、早急に各登録管理業者に対する分別管理のチェック体制を構築されることを強く要望いたします。

E  現在、国土交通省パブリックコメントとして、本基準案と平行して「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準(案)」に対するパブリックコメントも求められています。宅建業者が監督処分の対象とされているのは、日々繰り返されるスポットの営業行為であるのに対し、管理業者の場合に対象とされているのは、契約期間が1〜2年の長期の新規契約が主流となっています。したがって、この業態の差異を考慮に入れて以下に意見を申し述べます。


2.「2−3.違反行為を重ねて行なった場合の加重」に対する意見

 基準案“2−3.違反行為を重ねて行なった場合の加重”に定めるように5年間で複数の違反行為があった場合に、“U.各違反行為に対する監督処分”の規定に基づき定めた日数に2分の3を乗じて得た日数に加重するとなっています。しかし、過去5年間に3回以上の業務停止処分を受けている場合は、当該業者の順法意識が低いものとみなし、管理適正化法第83条三項に基づき管理業者登録を取り消すことが妥当だと考えます。


3.「3−1.地域を限定した業務停止処分について」に対する意見

 3−1.地域を限定した業務停止処分について”に基づいて、管理適正化法82条の規定による業務停止処分をしようとする場合において、当該管理業者の役員が、当該違反行為の存在を知らず、かつ、知らなかったことについて、その責めに帰すべき理由がないことが明らかであるときは、当該管理業者の本社に対する処分はなく、その地域に限定した支店、事務所のみの処分を行なうというのは不適切であると考えます。
 その理由は、管理適正化法の遵守をより徹底するためには、管理業者の本社は支店、事務所を監督すべき地位にあることを重視すべきであり、当該管理業者の本社が、自社支店等が犯した違反行為の存在を知らなかったということ自体が、処分に値すると考えるからであります。


4.「3−4.業務停止を開始すべき時期」に対する意見

 本基準案“3−4.業務停止を開始すべき時期”では、業務停止の開始時期を、業務停止命令書の交付日から2週間経過した日とすることを原則とし、準備行為に2週間以上要すると見込まれる場合には、命令書の交付日から2週間以上とすることを妨げない、なっていますが、これでは上限もなく甚だ曖昧であります。具体的な期間を定めるべきであると考えます。


5.「4.業務停止期間中において禁止される行為及び許容される行為」に対する意見

T)業務停止期間に対する意見

 本基準案“4.業務停止期間中において禁止される行為及び許容される行為”に示されている(2)@禁止される行為、及びA許容される行為を具体的にみると、たとえば、許容される行為のイ、ロ、ハの各項の内容は、業務停止の開始日前に締結された管理受託契約には殆ど影響がありません。したがって、大半の契約がカバーされるであろうから従前どうりの営業を継続することが可能となり、「業務停止期間」中は、わずかに新規の契約のみが制限されるにすぎないと考えられます。
 業務停止期間中の禁止行為及び許容行為を本基準案に示されているような内容を前提とすると、先述のような理由から、業務停止期間を「7日」または「15日〜30日」にとどめるだけでは、管理業者にとってはなんら痛痒を感じない監督処分に終わってしまう可能性があります。したがって、効果的な処分とするためには、少なくとも月単位の処分期間が必要と考えます。

U)許容される行為を禁止する要件に対する意見

 本基準案4−(3)においては、(2)―A許容される行為イ、ロ、ハは、「・・・・業務停止の開始日前に締結された管理受託契約に基づく管理事務について、これを不適正に執行するおそれが大である場合には、・・・」禁止することができる、となっています。しかし、契約当事者の管理組合の立場からすれば、契約した管理事務を不適正に執行するおそれがある場合には、これらイ、ロ、ハの行為はすべて禁止するという厳格な運用を行なっていただくことを強く要望します。


6.「5.監督処分の内容の公表」に対する意見

 監督処分の内容をホームページで公表するという点は賛成ですが、それだけでは不十分であると思われますので、管理業者の登録簿に記載する方法のほか、管理適正化法第84条に基づく官報のほかに、同法第72条1項の「国土交通省令で定めるもの」(同規則第84条)に追加するなどの方法を加えるべきであると考えます。


7.「U―1.管理適正化法の規定に違反する行為に対する監督処分」に対する意見

 管理適正化法に対する違反行為が行なわれたとしても、「直ちに違反行為を是正した場合や、誠実に対応した場合には処分を軽減できる」と定められていますが、ここで使用されている用語が「誠実である」などと曖昧であるとともに「直ちに是正した」場合には軽減できるのであれば、管理業者としても、言われてから是正すればよいという風潮になりかねません。また、情状を配慮した場合でも、その結果は公表すべきと考えます。


8.「U―2−(4)本法違反行為以外の行為に対する監督処分」に対する意見

  本基準案においては、不正行為の態様が暴力的行為又は詐欺的行為による等、特に悪質な場合であって、管理組合の財産にかかる損害が発生した場合にも、業務停止期間を加重するにとどまるよう規定されていますが、このような管理委託状態にある管理業者については、業務停止ではなく、登録取り消しとすべきであると考えます。


9.「U―2―(5)業務停止期間の軽減」に対する意見

 本項において監督処分の軽減措置について定められていますが、この場合も、その結果は公表すべきであると考えます。


10.「別表8.帳簿の作成等に関する義務違反」に対する意見

  管理業者にとって、受託した管理組合の管理事務について帳簿を作成し、これを保存することは基本的な業務であります。それを行わなかった管理業者に対し、指示処分のみでは処分として軽いと考えられます。


11.「別表9.(5)分別管理について必要な措置を講じなかった場合の処分」に対する意見

 本項は、管理業者の固有財産と管理組合の財産を分別して管理するため必要な措置を講じなかった場合の処分について定めています。しかし、財産という管理組合にとって大切なものが、管理業者の財産と分別して管理されていないというのは重大な違反行為であります。にもかかわらず、このような重大な違反行為に対する処分が指示処分というのは、あまりにも軽すぎると考えます。



 以上が本監督処分基準案に対する私どもの意見であります。これらの意見は、当連合会加盟17団体の意見をまとめたもので、以下に加盟団体名、代表者名及び会員管理組合数を記載いたします。わたしどもの意見を、現場の各管理組合の生の声として十分ご検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。



NPO法人全国マンション管理組合連合会加盟団体】

@社団法人北海道マンション管理組合連合会

  代表者 太田 實    349管理組合・27,168戸

ANPO法人東北マンション管理組合連合会

  代表者 鎌田 坦    128管理組合・10,082戸

BNPO法人日本住宅管理組合協議会

  代表者 穐山精吾    214管理組合・56,390戸

CNPO法人集合住宅管理組合センター

  代表者 伊藤智恵子   306管理組合・17,110戸

DNPO法人埼玉県マンション管理組合ネットワーク

  代表者 佐々木一     86管理組合・7,456戸

ENPO法人かながわマンション管理組合ネットワーク

  代表者 高尾勝彦    304管理組合・53,351戸

FNPO法人中部マンション管理組合協議会

  代表者 片桐忠孝   301管理組合・14,951戸

GNPO法人京滋マンション管理対策協議会

  代表者 清水雅夫   212管理組合・23,932戸

HNPO法人奈良県マンション管理組合連合会

  代表者 金屋平三    38管理組合・2,827戸

INPO法人関西分譲共同住宅管理組合協議会

  代表者 佐藤隆夫   174管理組合・20,511戸

JNPO法人岡山分譲共同住宅管理組合協議会

  代表者 御厨法男     9管理組合・593戸

KNPO法人広島県マンション管理組合連合会

  代表者 伊藤忠康   151管理組合・9,342戸

LNPO法人福岡県マンション管理組合連合会

  代表者 石川靖治   238管理組合・11,535戸

MNPO法人福岡マンション管理組合連合会

  代表者 杉本典夫   552管理組合・38,532戸

NNPO法人長崎県マンション管理組合連合会

  代表者 松尾則夫     9管理組合・760戸

ONPO法人熊本県マンション管理組合連合会

  代表者 正木澄夫    60管理組合・3,348戸

PNPO法人宮崎県マンション管理組合連合会

  代表者 布谷清澄    44管理組合・2,679戸

以上


   NPO法人全国マンション管理組合連合会
    〒600-8078 京都市下京区松原通高倉東入ル三洋ビル304
    TEL.075-351-7421     FAX.075-371-1564
    E-mail:info@zenkanren.org   


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